2007年6月26日火曜日

日はまた昇る



アーネスト・ヘミングウェイ、ロスト・ジェネレーションを代表する作家である。
その中でも個人的に好きなのは、日はまた昇るである。3冊の翻訳を買って
しまったぐらいだ。

高見訳は分かりやすい。しかし個人的には大久保訳の方がしっくりくる。
彼の文章は一文、一文簡潔な文章で、感情を描こうとせず、事物を描くことで、感情を浮かび上のがらせてくるハードボイルなスタイルが特徴だ。何を書くべきかが重要なように、何を書かざるべきかも同様に重要であると教えてくれる。書かれていることしか読めない人にとっては全く何のことかさっぱりになること請け合いである。しかし、主人公達が何を考え、何を感じているのかを行間から読んでいけば、いかにこれが、切ない物語なのかが分かる。俺が読んだ中でこれはせつなさNo1の中の一つである。


ロスト・ジェネレーションなんてクソくらえだ。世界大戦後の閉塞した時代に生きる若者達が目標を喪失し、過去を振り返ることができず、未来に託すこともできず、ただ今を刹那的、虚無的に生きている。痛切な青春の乾きをよそに日は今日もまた昇る。ジェイクが肉体損傷に関してどう感じているか、ブレッドがなぜジェイクを選ばなかったのか。是非考えてみていただきたい

最初ジェイクの哀しさに圧倒されたが、今はブレッドも同じぐらいに哀しさに満ち溢れていると考えるようになっている。

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